2013年10月16日水曜日

マイク・ミルズのうつの話



90年代のコラージュをして下さいと言われたら、私的に絶対はずせないマイク・ミルズの初のドキュメンタリー


「マイク・ミルズのうつの話」の先行上映会に行きました。







上映後、監督もSkypeだったけど(しかもカリフォルニアは午前1時)トークショーに参加してくれるという嬉しい企画






抗うつ剤を飲んでいる、5人の日本人のありのままの生活が撮られている




マイク・ミルズが日本で友人が抗うつ剤を服用しているのを見て、
“薬というのはアメリカ的な考え”なんではないかと思い始める。
健康の概念、ハッピーでなくてはいけないという欧米的な考え方の輸出。小さなカプセルの中にグローバリゼーションが起きていると感じる。

うつを調べていると
製薬会社が日本にも「心の風邪をひいていませんか?」という広告キャンペーンを展開していることを知り、
日本が舞台の「うつ」をテーマにしたドキュメンタリー制作をスタートする






どこかで「今回の作品は、マイク・ミルズ監督が、うつ患者の壮絶な日常を優しく捉え、日本社会の問題点をつく」みたいな宣伝を見たけど


ある意味合っているのかもしれないけど、
そんな大げさじゃない。と思う。




製薬会社の戦略の問題点よりも、
もっと、出演している5人の「人間」に寄り添っている



5人の出演者とマイク・ミルズの会話、持っている持ち物、習慣としていること、自分がアガるもの、過去の話などを織り交ぜながら、淡々とした日常が撮られている



なので、壮絶な物語というのではなく感動的なものでも、強いメッセージが込められているものでもないので、
正直「 観る 」というより「 眺める 」気持ちでした。







登場人物の1人で、プログラマーのケンという人がでてきますが
彼はホットパンツにハイヒールで街を歩く。そしてSMのショーに出演をし、縛られているときに快感を感じる




このシーンを
観ている最中にも関わらず、中傷的な声が会場で聞こえて
悲しい気持ちになった







その人なりの、
こだわりや、解放されるものだったり、気分がよくなることというのは、
個人の自由なんてことわかりきってるのにね



それでも
何かに拘束されてしまう窮屈さ、依存心、疎外感、自分自身の不自由さに縛られてしまう





心の弱い部分のすき間に、ふっと入ってくる「うつ病」の概念

でも、「うつ病」の認知度が上がったことや、抗うつ剤を服用することによって救われている人もいるので複雑だなって思う




色んな考えがあるだろうけど、
自分が単純に「気分がよくなること」をしていればいいと思う




その行為が他人にとって
不快でも、イケてなくても、迷惑をかけなければいいと思う







監督のメッセージや考え方は、この映画にはない。
観る側に委ねられる。





わたしは、
トークショーでマイク・ミルズが言った
「kindness」というワードが1番しっくりくる









出演者のミカさんが、サプライズゲストで来た時の、
嬉しそうに「ミカはとっても面白い人なんだ!」と教えてくれて
ミカさんに「赤ちゃんが生まれたよ!」と写真を見せていた姿が微笑ましかった




上記エピソードだけでなく
実際に話してる言葉や雰囲気を見聞きして


マイク・ミルズ監督は、
一点からではなく俯瞰でものを見れる優しい、人の痛みのわかる人
また受け入れることをしようとする人なんだなと感じた




どういう人間性かを知り、自分の中で今までの作品に納得がいって、大好きになったので参加できてよかった






新作の脚本も書いているそう!描いているテーマはいつも共通ですね。
楽しみ!



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